こんばんは、しまちゃんです。
今日はまた仕事の日だ。全国的に今日が仕事はじめの人も多いだろう。テンションはなかなか上がってこないが、一旦職場に着くとスイッチが入って溜まった仕事(大したものはないが)を次々にテキパキとこなす。私はどちらかと言えば、やることがなくなってしまうとあたふたしてしまうタイプだ。
ネット出願元年にちょっと言いたい!
さて今日は、そんな私の職務上のお話し。私は教育現場にいるのだけど、生徒の出願書類の取り寄せなども行うことがある。これまでであれば、生徒は取り寄せた大学の願書に自ら必要事項を記入し、その他の必要書類(高校の調査書や出願料の払い込み証明書など)などとともに郵送で出願していた。
しかし最近増えてきたのは大学への「ネット出願」。今回はこれについて考えていきたい。
ネット出願の流れ
ネット出願とは、出願手続きの大半をインターネットで済ませてしまう出願方法だ。出願者(生徒)は大学の出願特設サイトにアクセスし、そこで必要事項を入力し、支払方法を選択する。最終的には郵送に必要な志願票や封筒に貼り付ける宛名ラベルを印刷する。
出願者はその後、自前の封筒に志願票や調査書(この辺は大学により異なる)を入れ、封筒の表面に印刷した宛名ラベルを貼り付けてこれを郵送して完了。大学にとっては低コストの上環境にも優しく、生徒にとっても記入ミス等の心配がいらなかったり24時間いつでも出願ができる等大学、生徒双方にWin-Winの方法に思える。
こちらは九州看護福祉大学の「宛名ラベル」。どこの大学もこれは似たり寄ったりだが、入力した生徒の出願情報(名前や学部など)が予め印字されている大学もある。
ネット出願の大学が増え続けている
大学側にとっては大量の願書(かなり厚みのある冊子)を作成しなくても済むし、出願書類のミスのチェック作業なども減るはずなのでいいことずくめなのだろう。単純に出願者から届く大量の書類を扱うことによる事務作業も激減するはずだ。文字情報をデータ化する手間も省けるだろう。印刷に使用する紙も激減し、環境にもやさしい。こんな便利なシステムなので、今全国でネット出願の大学は増え続けている。
おそらく私立大学はほとんどがネット出願に移行したものと思われる。もちろんすべて確認したわけではないが、例えば中央大学や青山学院大学、法制大学などはネット出願のみの受付だ。
国公立大学に目を移せば、全国に169ある国公立大学のうち、概ね73の大学がネット出願となっている。これはおよそ4割に上る。国立大学に限っていえばこの割合は5割(半分)を超えている。今後もこの数は間違いなく増える。
ネット出願の問題点
こんな便利なネット出願だけど、実はこのシステムと出願をする生徒の間に立って(代わって)出願作業を行うことがある私が憂慮している問題点がある(半分愚痴だけど)。
インターネット出願システム側の問題点
最初からやり直しトラップが多い
さて、この便利なインターネット出願のシステムだが、数多くの大学の出願システムを使用してきた私が、ほぼどの大学にも共通して問題だと感じる点が1つある。それは、入力作業をかなり進めてしまったところですべての入力が無駄になる項目が突如現れる、ということだ。例を挙げる。名前や住所、親の名前、連絡先、出願方式、などなど、様々な項目を入力した後、最後の方で、「200字でこの大学に志望する理由を書いてください」などと訳の分からない項目が現れる。某私立大学の医学部。なぜか準備する書類の項目等にも事前に書かれていない。その場で書ける人はいいが、普通は添削してもらったり、直したりするためその場では書けない。仕方なくブラウザを閉じると、数十分かけて登録した情報はすべて消え去っている。ブラウザを閉じず、数分放置して考えてもセキュリティのためブラウザ上の作業ができない。「すごろく」でゴール寸前でスタートに戻された気分。
こういうのってなんか別のところでも経験したぞ・・。e-Taxだ。
こういうシステム作る人はちゃんと使う人の立場に立って考えているのだろうか。というか、1度でも自分でテストしているのだろうか。
こんなことにならないように、「ネット出願する前に準備しておいた方がいい情報」をまとめると以下の通りとなる。
とりあえず思いつくのはこのくらい。多くのネット出願では、上記の情報が1つでも入力できないと先に進めないどころか、振り出しに戻されることが大半だ。各大学において必要な情報は調べられるだけ調べてから出願を開始したほうがいいだろう。なぜか多くの大学では「出願に必要な情報」というのをまとめていないけど。
プリンターが必要
またこれもネット出願の問題だが、ほぼ必ずプリンターを必要とする。最後に宛名ラベル等の印刷があるからだ。そんなみんながみんなプリンターは持っていないだろう。なので、私のような現場の人間が代わりに出願し、印刷もしてあげることになる。このプリンターというのは、結構ハードルが高いのではないだろうか。できるのはPDFをメモリスティックなどにいれてコンビニで印刷することくらいか。
出願者側の問題点
塾業界でよく言われることに、「塾業界は特異なサービス業界である」というのがある。どういうことかと言えば、通常のサービス業界であればお金を払う人とサービスを受ける人は同一人物だが、教育業界ではサービスを受けるのは生徒、お金を払うのは親という図式となっている。
こんなもんだから、ネット出願をする際には、親と生徒が一緒に画面の前に座ってやったほうがいい!
生徒は下手をすると、電話番号はもちろん、自分の住所も分からないことがある(沖縄だけ?)。また、今の子どもは「メールアドレス」というものを持っていない子が多い。しかしネット出願では、一部の大学が一旦生徒の登録アドレスにメールを送信し、そこに書かれたURLからでなければ残りの出願手続きをさせないようにしている。なので、最初にメールアドレスは作るべきだ。
もちろん生徒にはクレジットカードなどの情報もないため、親と子どもが相互に必要な情報を補完しあいながら出願作業を進めた方がいい。
これは実際にあったのだが、親と子どもが両方とも「パソコン」関係に致命的に疎い場合はもう絶望的だ。出願が危ぶまれる。半角と全角の違いがわからない(なぜか住所は全角数字を使わせるところが多い)、「証明写真のアップロード」の仕方がわからない、出願をスマホでやろうとして失敗する、住所欄がアルファベットを受け付けない、指摘されるエラーの意味が分からず先に進めない、などなど。こういう人は実際にたくさんいて、置いてけぼりにされてしまう。
私が対応したあるお母さんは、このネット出願のためだけにパソコン教室に通い(いくつかは断られたらしい)出願作業を一緒にやってもらったそうだ。
これはセンター試験成績請求票。
というわけで、私のようなインターネット大好きなおっさん世代ならいいのだが、現実には世の中で一番パソコンを使用したインターネットが苦手と思われる「ある程度以上の年齢の女性」と「子ども」の組み合わせが、ネット出願に一番直面しなければならない「出願当事者」となっている。そこに来て私のような人間でも迷うようなポンコツネット出願システム。これはもう混迷を極めるのが約束されているようなものだ。
大学にはもう少し柔軟な対応をしてあげてほしいし、SEにはこのネット出願システムの中身をもう少し見直してほしいと思うのであった。
おわり
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